Palnote vol-127 2024年7月3回号掲載【特集】どんな環境でも夢を抱けるように
『こども・若者未来基金』
社会的養護のもとで育ったこども・若者の自立を、伴走者ごと応援
パルシステム千葉が支援している『こども・若者未来基金』は、さまざまな理由により保護者との生活が困難なため、児童養護施設や里親などの「社会的養護」のもとに暮らす子どもたちが夢をもち、未来を切り開いていけるよう応援しています。
千葉県内では2021年度末現在、児童養護施設や乳児院などの児童福祉施設のほか、里親家族やファミリーホームなども含め、約1,300名の子どもたちが社会的養護のもとで暮らしています。
お話を伺ったのは…
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認定NPO法人 ちばこどもおうえんだん
理事長 湯浅美和子さん
社会的養護のもとにある子どもや里親家庭支援、貧困家庭の子どもなどの支援を通じて、一人ひとりの子どもが安心して自分らしく暮らせる社会づくりを目的に2015年に設立しました。
『こども・若者未来基金』とは
社会的養護のもとで暮らす子どもたちは、概ね18歳になると社会に出て、自立しなければなりません。進学や就職といった夢をもちながらも、同時に生活もしていく必要があり、親という後ろ盾のない子どもたちにとっては大変な困難が伴います。これまで国などの支援の多くは「貸与型」となっており、就職後に返済の義務が発生しました。そんな中、適切な支援を「給付型(返済の必要がない)」で行うため、認定NPO法人「ちばこどもおうえんだん」とパルシステム千葉、県内の二つの生協が力を合わせて2017年に立ち上げたのが、『こども・若者未来基金』です。
「伴走者」ごと応援する意味
子どもたちの支援にあたり、「ある程度自立できるまでどう見守るか」という課題がありました。「おうえんだん」そのものは、見守りができるプロの集団ではありません。そこで考えられたのが、子どもたちに普段から関わっている人が「伴走者」として寄り添い、子どもたちの相談に乗ってもらうという手法です。ただお金の援助をするだけでなく、気軽に相談できる相手がいるということで、子どもたちの精神面の安定も担ってもらっています。
これまで150 名以上を支援
立ち上げから2023年度末までの7年間で、150名以上の子どもや若者に6,000万円を超える額を支援してきました。立ち上げた当初は、福祉系の道に進んで、自分と似た境遇の子どもたちの力になりたい…といった希望をもつ子が多かったのですが、最近ではいろいろなことに興味をもち、進む道の幅も広がっています。そうしたさまざまな夢を抱けるようになるためにも、これからも活動を継続していきます。組合員の皆さんの温かい応援、ご協力をお願いします。
具体的な支援の内容
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くらしスタート
新生活を始めるための 資金を援助
(自立時の住宅資金や家財購入など) -
まなびサポート
大学などの入学金や授業料等の援助
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くらしサポート
進学した子どもの 月々の生活援助
(在学期間中) -
資格サポート
資格取得に必要な 資金の援助
ほかにも、こんなサポートも
入学金つなぎサポート
(他の奨学金が支払われるまで、入学金等を立て替え)
緊急サポートSOS
(緊急資金援助)
伴走者支援
経費の補助(上限3万円)
伴走者は子どもに寄り添い、定期的に面会して相談にのったり、入学や公的制度の申請手続きに同行したりしています。そうしたサポートに伴う交通費などを支援しています。
Y.S.さん
アットホームな施設で暮らして
もともと母子家庭で育ち、母親の病気のために児童養護施設の子山ホームに入所しました。当時12歳だったのですが、とても家庭的なホームの雰囲気に驚きました。毎日が楽しく、そしていっしょに過ごしている職員の方々もとても楽しそうで。自然と、自分も同じ道に進みたいと思うようになりました。
「社会的養護下」からの卒業
社会的養護がなくなる18歳という年齢が近づいてきたとき、高校生なら誰もが思う「進路はどうしよう」という悩みのほかに、「自分には“限られた選択肢”しかない」という思いが強くありました。児童養護施設の職員になるためには福祉系の勉強をするのが良いのですが、そのためにどうすればいいのか…とひたすら考えていた気がします。
ホームの職員で一番話しやすかった若林さんに、どんな方法があるのかを相談して、結果的にいろいろな支援を受けながら大学に進学することができました。『こども・若者未来基金』ももちろんその一つで、一人暮らしをはじめるときに「くらしスタート」「まなびサポート」で一時金を支給してもらいました。大学では希望通り社会福祉を学んだのですが、1、2年生のときはアルバイトと勉強との両立が本当に大変だったので、「くらしサポート」で生活費の一部を支援していただいたのはとてもありがたかったです。今も伴走者としてそばにいてくれる若林さんは、普段、ちょっと困ったことや悩みごとなどを気軽に相談できる、お兄さん的な存在です。
夢に向かって
大学を卒業した今は、児童相談所の職員として働いています。子どもに関わる仕事ができたらいいな、と思っていたので、子どもたちの生活をサポートする現在の仕事はやりがいがあります。私も児童相談所のお世話になっていた時期があるので、今この子はどんなことを思っているのかな、こんな気持ちなのかな…となんとなくわかるんです。なので、子どもたちの気持ちに寄り添えるという意味では自分の経験が役に立っていますね。
今の仕事ももちろん充実しているのですが、「児童養護施設の職員」というもともと抱いていた夢に向けて、また頑張りたいと思っています。
伴走者の立場から
普段は子山ホームの職員として働いていますので、どうしても目の前にいる子ども(在園生)が優先になります。本音を言うと、伴走者としてあまり目をかけてあげられていないのかも…と思うこともありますが、SNSでメッセージをやりとりしたり、機会を見つけてお茶したり、時にはお酒を飲んだり。彼が大学を卒業してからは、僕は友だちと遊ぶのとあまり変わらない感覚ですね。
それくらいの気持ちで寄り添う方が、お互い負担が少ないのかなとも思います。彼の夢が「児童養護施設の職員」と聞いたときには、本当にうれしくて涙が出ました。将来、いっしょに働く日が来るのかも…とわくわくしています。
伴走者 若林越磨(かつま)さん
\組合員の声に応えて/
いつでも募金ができるようになりました
【募金方法】
「現金」や「ポイント」で募金できます。商品ご注文時に、下記の6ケタ番号と口数をご記入ください。
\パルシステムで/さまざまな支援・応援ができます
パルシステム千葉 平和活動募金
私たちの生活は、平和な社会が根底にあり成り立っています。日々のくらしを通じて平和の尊さを再認識し、すべての人々が安心して暮らせる平和な社会を次世代に引き継いでいくことが大切です。
この「平和活動募金」は、平和の大切さを次世代へつなぐために、今年度はパルシステム千葉で実施する「組合員やその子ども」を対象とした「ピースアクション」への参加に伴う費用として活用します。
■受付期間 7月8日(月)~7月26日(金)
ピースアクション
~次世代を担う子どもたちに平和を学ぶ機会を!~
ピースアクションとは、戦争・被爆体験の継承や、世界のさまざまな戦争や紛争、基地問題、憲法など、多角的なテーマで平和を考える取り組みです。
戦跡や記念館・資料館、美術館で学ぶフィールドワークや学習講演会、全国の生協組合員が集う交流会などを開催しています。これまでにパルシステム千葉は、「ピースアクションi nヒロシマ」「ピースアクションi n ナガサキ」「ピースアクションi nオキナワ」へ参加し、たくさんの子どもたちの成長を支援してきました。
パルシステムグループ全体で取り組んでいます
東京電力 福島第一原子力発電所
事故被災者応援金
被災者・避難者に寄り添う活動を行っている支援団体や、原発事故を風化させまいとさまざまな取り組みをしている団体の活動に生かされています。
千葉県内の支援団体「黄色いハンカチ」の活動の様子
買って応援!まごころセット
食べるものに困っている人たちに、フードドライブだけでなく、「パルシステムの商品を寄付したい」「家に余った食品がないけど、何か支援したい」、そんな組合員の声に応えて取り組んでいます。
※次回は11月4日(月)~22日(金)を予定しています