【2024年度】パルシステム千葉コミュニティ活動助成基金 交付団体 vol.7「特定非営利活動法人 千葉県中途失聴者・難聴者協会」の活動を紹介します!
【事業名】失聴者のコミュニケーション支援
▼こうして助成金を活用しました!
文字で伝える「要約筆記」に使用する筆記者の手元を写す専用カメラとプロジェクターの購入費用に充てました。
パルシステム千葉コミュニティ活動助成基金 地域の諸課題に市民事業・活動として取り組む団体を資金や広報の面で支援するために、パルシステム千葉が2001年度から設置しています。 |
「話せるが聞こえない」という境遇
人生の途中で聴力を失った人は、喪失感や失意の中で「大人の引きこもり」に陥りやすいものです。「話せるが聞こえない」という状況がどういうものなのか、なかなか周囲にわかってもらえません。その場に応じた声の音量が調節できずに「うるさい」と思われがちで、友人や家族とさえ会話する機会が減っていきます。筆談するにも書くのに時間がかかったり、簡略化すれば気持ちが通じなかったりすることもあります。
耳が聞こえなくても会話を楽しもう!
中途失聴者の孤立を防ぐためには、同じような境遇の人やサポートしてくれる仲間と語り合い、安心してコミュニケーションを楽しめる場を持つことが大事です。そこで、地域の人が参加しやすいように、東葛南、東葛北、印旛、その他広域ごとに、中途失聴者や難聴者のための集会を開催しています。失聴しても会話を楽しめる場を作ることを第一の目的として活動しています。
「私の自慢展」「誰でしょう写真展」
印旛事務所では佐倉市を基本に、年に2~3回は他の市町を回ります。懇談中心の「聞こう会・話そう会」をベースに、ときには作品展やレクリエーションなどの企画を組み込んでいます。
11月の例会では「私の自慢展」として、会員の皆さんの手作り作品が並びました。どれも力作ぞろいです。利用者の年代は40代~90代と幅が広く、時折話が合わないこともありますが、それよりも「話したい」という気持ちが強く、皆さん会話を楽しんでいます。
-
参加者の子ども時代の写真をプロジェクターに写して誰かを当てます。視覚的にも楽しめて、思い出話により自分とは違う世代の方の経験も聞けて交流が深まります。
-
耳が聞こえなくなったことを知人に言いづらい気持ちがコミュニケーションを妨げてしまいますが、仲間と会話を楽しむことで気持ちが明るくなり勇気が出ます。
-
積極的に「耳マーク」をバッグなどに付けるようになり、周囲の理解を得てサポートも受けられるという好循環も。
⇒ 「 耳マーク」とは
「要約筆記」という強い味方
複数人での会話が難しい失聴者の集会では「要約筆記」が欠かせません。これは発言者の言葉をマジックペンで簡潔に手書きし、それをオーバーヘッドカメラ(OHC)で撮影して液晶プロジェクターからスクリーンに映して、みんなで同時に共有する方法です。講演会などでは内容を重視しますが、懇談会では楽しく話すことが大事なので、思わず気持ちがこぼれたような言葉もていねいに拾っています。
会員の高齢化が進み、駅に近く便利で安全な集会場所を求めていますが、そうした会場は人気があり予約が難しい状況です。今回の助成により「OHC」と「プロジェクター」を購入することができました。公共施設にも不備なところが多いので、自前の機器を持ち運びできるようになり会場の選択肢が広がりました。ありがとうございました。
要約筆記サークル『あうん』と
普段から地元の要約筆記サークル『あうん』とはいつもいっしょに活動しており、私たちにとってなくてはならないパートナーです。佐倉市が主催する「中途失聴・難聴者の支援を学ぶ講座(全4回)」の運営もいっしょに受託し、県内9カ所の要約筆記サークル連絡会等との合同の研修会なども行っています。
要約筆記者は、全国統一テキストを用いて2年間、訓練を受けます。3人で1つのチームを組み10分間で交代で聞き取った内容を要約し、文字に書き起こしていきます。耳で聞いていることと手で書いていることにタイムラグが生じるので、右脳と左脳を同時に使い、高い集中力が求められます。また猛スピードで手書きするため腱鞘炎になってしまう方もおり、大変な作業です。頭の下がる思いです。
身近にいる方にこの情報を届けてほしい
パルシステム組合員の皆さまにも、またご近所にも、耳が不自由になった方が必ずいると思われます。「聞こえないのは自分のせい」などと諦めずに、たくさん話すことが大切です。当協会を知り、会員になってコミュニケーションの場を持っていただければと思います。
お問い合わせ先
特定非営利活動法人 千葉県中途失聴者・難聴者協会
所在地:千葉県船橋市本町2-5-2 ムラキビル102号
電話・FAX 047-432-8039
メール ccnk39@kzd.biglobe.ne.jp